2017年1月20日金曜日

素人目線はもう沢山

素人目線で政治を語る番組が氾濫して久しい。
放送開始当初はその無知さ加減が新鮮で受け入れられたのだろうが、今となってはなぜ政治を素人が偉そうに語るのか、専門家を差し置いて好き勝手に放言するのか、疑問の声も大きいのではないか。
お笑い芸人に頭がよく感覚が鋭い人が多いのは事実で、そういう人の直言は専門家のぼんやりとした発言よりも胸に響くのは確かだろう。
しかしそれもたまにあるからいいのであって、チャンネルを回してどの局でもお笑い芸人が大きな顔をしていたら辟易してしまう。
民主主義は一歩間違えると衆愚政治に陥りやすい。
現にイギリスの欧州連合離脱やアメリカ大統領選でのトランプ候補の躍進はポピュリズムの表れとして、知識人、メディアには批判的に受け止められた。
日本のメディアもそうした風潮に乗っかって危機感を煽った。
しかし、彼らのやっていることはと言えばポピュリズムそのまま、素人が好き勝手政治に口を出して面白おかしく茶化す番組を量産している。
韓国の政治危機など芸能ニュースと同じ軽さで笑いの肴にしただけだった。
こうした風潮について地上波テレビに期待する方が愚かなもので、顔を赤くして怒りをぶつける気にもならないが、彼らの態度の一貫性のなさは同じ人間として少し気にかかる。
他人の男女のあれこれを散々追いかけまわして、自らの社員の不倫恋愛には臭い物に蓋をするかのように口を噤む。
大衆を扇動してあれこれ勝手なことを言い募る番組で、ポピュリズムの波を前に危機感を口にする。
反体制を公言する(放送法上大丈夫なのかと思うが)報道番組が、大手芸能事務所所属タレントのスキャンダルを黙殺して媚びを売る。
こんなメディアを信用できるのは余程の馬鹿でお人好しだろう。
今人々が求めているのは素人目線の素人ではない。
素人目線で語ることの出来る専門家の叡智だろう。

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