2017年1月17日火曜日

トランプのアメリカ

アメリカ人に対する疑問。それを以前の記事で述べた。
あれはアメリカ人の認識、内面に注目するものだった。
ここでは、もう少し視野を広げて構造的な部分にも目配りしつつ疑問を挙げていきたい。
あまり学術的でもジャーナリスティックでもない素人っぽい文章になると思うが、お付き合いいただけるとありがたい。
1.トランプ陣営への疑問
・対中政策
対中政策の全体像はどのようなものになるのか。
経済政策を中心に据えて交渉の材料として何でも使うビジネスマンスタイル。
台湾総統との電話会談やひとつの中国の方針転換の示唆はその一環。
そういうとらえ方が日本では主流のようだが、その理解は正しいか。
対中封じ込めに言及した閣僚がいるとか、対中貿易赤字をトランプが重く見ているとか、為替操作国批判や、南シナ海の海洋進出、台湾、などとどう向き合うのか
・保護主義なのか違うのか
保護主義と評して懸念する声が上がっている。
関税の件とメキシコの壁の件が要因か。
実際、保護主義なのかどうか。批判にどう応えるのか。(経済重視姿勢から単なる保護主義とは思えない)
・移民政策
不法移民対策で犯罪歴のある移民の送還とこれ以上の不法移民の流入防止に言及。
これに対して批判が強いのは自由を愛する移民の国だから?
不法移民が数の力で一定の正統性を獲得してしまったから?
不法移民擁護の声がこれほど強く、この程度の主張が排外主義扱いされてしまうアメリカに住む保守的な人々が不憫で仕方ない。
似たような移民問題はドイツをはじめ欧米各国でも生じているが、さすがに不法移民ではなく合法の移民に関する話題がメインで不法移民がかくも市民権を持っている国は世界でもアメリカだけではないか。ちょっと理解できない。
・メディア対策
メディアとの対決姿勢。手打ちの見込みは――
当面なさそう。
NYTやCNNには正面からけんかを売られて買っている様子だし、どちらもプライドが高そう。
FOXやブライトバートが味方についてるからメディアはもうそれでいいやといった感じなのか、今後和解の見込みがあるのか。多分和解せずにどちらかが潰れるまで争うのではないかという予測。
・ツイッター戦略
ツイッターで暴れているけれど、今後も続くのか正式に就任したらトーンダウンするのか。
これは変わらないという声も多いけれど、大統領になって実務を積んでいったら自然と変化は現れるのではないかという印象。
公務が忙しかったらつぶやく頻度は減るだろうし機密が色々出てきて好き勝手言うことは出来なくなるのでは。
・経済政策
経済の専門家以外が不用意なことを言っても仕方ないと思うので割愛。
あとで誰か信頼できる人の意見を探してきます。
けど要は公共投資、雇用の創出、景気好転の流れですよね。
・支持率向上に意欲はあるのか
実はもう支持率を短期的に上げることに興味がないのではないかとも言われていたけれど、どうなのか。
2年後には選挙があるらしく、すでに選挙モードとの声も。
基本的にトランプ陣営のことってメディア情報をいくら見ててもわからない部分は大きい。
選挙のときも場当たり的と批判されていたけれど実際は非常に緻密に計算された選挙戦術に則っていたことが明らかになっている。

2.反トランプ陣営への疑問
・なぜそんなに子供っぽいのか
これは前に記事に書いた。
なぜ大統領をnot my presidentなどと幼稚なことを言って認めようとしないのか。
民主制を否定する発言を平気でしつつ、トランプの発言の枝葉末節をとらえて貶める。
これは稚拙以外の何物でもないだろうと思うが、実はそうした有名人を支持する声が大きく、逆にトランプを支えてまとまるべきだと発言した良識ある人が(彼女は何もトランプ支持を表明したわけではない。嫌いでもまとまらなくてはと言っただけだ)叩かれたりと、おかしな風潮だ。
もっともアメリカ人が行き過ぎるのは昔から歴史的に見られることで、インディアンを狩り尽くしてみたり、日本人を締め出してみたり、とにかく何かを正しいと思うと突っ走ってやりすぎてしまう国民性が指摘されている。
今後いつどちらがどのように軌道修正を図るのかこのまま突っ走るのか、狂騒曲に巻き込まれる世界はいい迷惑だろう。
・トランプを批判することで何を実現したいのか
トランプは反オバマでしかないと言われる。そうかもしれない。
では反トランプは?
反反オバマでオバマ政権の8年間を肯定しているだけだ。
とすると、結局この争いは両者の利権対立でしかない。
オバマの8年で不満をため込んだ層がそこからの解放を求めてトランプについた。
オバマの8年を享受した層がそこから離れたくなくてトランプに怒りを向けている。
何のことはない、単なる利権をめぐる生々しい争いでしかない。
自分の利権を失いたくないからごねる。何とも醜い有様だ。
もっと建設的にトランプに訴えかけていけばいいものを、ただ否定するだけではトランプも更に頑なになるだけだろう。
全肯定でも全否定でもない当たり前の論説を示しているのはWSJなどは比較的まともに見えるがあまり数多くないように見える。
・芸能人が自分の影響力を武器に政治活動をするのって変じゃないの
芸能人、いわゆるセレブが政治活動を主導するのはおかしいと思う。
彼らの影響力は政治活動に関するものによるものではないのに芸能活動で得た名声を政治的なプロパガンダに用いている。しかも業界として大々的に。これはさすがにおかしいのではないかと思うがあまり批判を聞かない。個人の自由を重視する国だからなのか。
しかし影響力と見識が釣り合っていない人が影響力を行使するのは社会にとっては害悪でしかないのではないか。特に規制すべきなどとは思わないが、あまり好ましいこととは思わない。

とりあえず思ったことを書き連ねてみた。
もう少し整理していきたいけれど、自分の中ではこれでもすっきりしたので満足。

(追記)
日米関係の変化が一番日本人として関心のあるところだが、もともとアメリカ人への疑問という観点で考えていたのでつい書き漏らしてしまった。
でも基本的に今まで以上に関係は良好になるのではないか。
というのはヨーロッパの主流派との関係が悪化しそうで中国とも緊張関係なので日本とくらい仲良くしておかないとという計算が想定される。
ロシアとは未知数だけど、ロシアと近付くとヨーロッパとは距離が開くという関係性があるらしい。
ロシア問題は共和党と大統領で考えが異なる部分もあるので火種になる恐れも。

(追記)
こうして読み返してみると荒っぽい議論だけど、そう的を外してもいないような気がする。
実際、懸念のいくつかは現実のものとなっている。
WSJに関しては当時やや高く見積もりすぎていた部分があって、別にあれも意図があって紙面を構成しているのであって、決して公正なメディアとは言えないようだ。もっとも、絶対的公正はあり得ないという前提に立つと、やはりある種の経済合理性を目指している分、感情的な論は抑えめであり、比較的まともな部類という感はある。(17/6/5)

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