2017年1月25日水曜日

清らかな厭世―阿久悠

前々から、阿久悠が好きだった。
と言っても、世代もあって彼の歌が取り立てて好きだったというわけではない。
先に彼の書く文章が好きになって、後から彼が高名な作詞家としての顔を持つことを知った。

彼の書く文章に最初に触れたのは、産経新聞のコラムだったと思う。
素朴な、飾らない言葉で自分の思いを語る感じが、あまり当時の知識人にない実直さを感じさせて、すぐに好きになった。
彼が死んで、早いものでもう10年が経とうとしている。

最近改めて、阿久悠の遺作とも呼べるこの本を読み返している。
力強い言葉が並んでいて感銘を受けるとともに、彼の強い危機感の滲む言葉にはっとする瞬間がある。
サブタイトルは‟言葉を失くした日本人へ”となっている。
日本人は沈黙の美徳を捨てて、欧米的な主張する姿勢を手に入れた。
しかしそこで語られる言葉は空転するばかりで、言葉の重みが失われてはいないか。
そんな問いを投げかけられているように感じたが、私には彼に返す言葉が未だ思い当たらない。

阿久悠オフィシャル
http://www.aqqq.co.jp/index.html
清らかな厭世
http://www.aqqq.co.jp/top_news/kiyorakana.html

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