2017年3月3日金曜日

江藤淳全対話1~4

江藤淳という人は生まれながらの批評家のような人だったと思う。
今の時代に批評家が存在するのか疑問に思うのは、彼を念頭に、その水準を想定してしまうことがその原因かもしれない。
しかし彼の生きた時代にはたしかに批評が存在した。
小林秀雄、福田恒存、河上徹太郎などとともに江藤淳がいた時代に自分も生きていたら楽しかっただろうと思うと残念だが、かえってこうして先達として仰ぎ見ているくらいが平和でいいのかもしれない。
中でも江藤淳の言葉は綿密な準備と緻密な論理に裏打ちされた重みのある発言が多い。
2巻の頭に収録された大江健三郎との対談が何とも言えず印象的だった。

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