2017年2月17日金曜日

日本語が亡びるとき―水村美苗

なかなか面白い評論だった。
なるほど評論とはこういう文章かと腑に落ちた。
評論を知らないわけではないつもりだが、読むものというと小林秀雄世代が主で、他に高坂正堯の文章も一般に評論に分類されるものが多いと知ったが、いずれも故人である。
近頃の評論というとその名手も代表的人物も杳として知れず、評論が評論家という名の不可思議な肩書に吸収されて消失してしまった感すら漂う。
そんな時代において、この著者は作家だそうだが、立派に評論を執筆し発表し、そして大きな反響を呼んだ。
その意味で彼女は偉大だと思った。
国内と国外の影響を共に強く受けて自分の言葉で語り出したという点で、小林秀雄や夏目漱石に通じるものを感じた。
内容についてはそれほど咀嚼できていないししばらくはそれを試みる予定もないので印象論に留める。
究極的に批評とは吟味ではなく印象論が全てだと思うのだが、それは誤謬だろうか。
何にせよ楽しい読書体験だった。

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